2000系の衝撃
1.ついに振子式ディーゼル
キハ391の頓挫で宙に浮いてしまった振子式気動車。 しかしその研究は着実に進められ、ついにディーゼル動車として実現することとなったのです。 しかも381系振子電車の教訓から、更なる改良が加えられ、いわば強制振子の制御システムと自然振子を折衷した、両者の長所をできるだけ取り入れ、両者の短所をできるだけ減らすという、世界に例の無いシステムとして完成したのです。
高速気動車がないと生きていけないJR、まさに四国と北海道、まず第一弾はJR四国に登場することとなりました。
2.奇跡の走り
動力装置はキハ85によく似た性能となりました。 出力は1両当たり660馬力とややダウンしていますが、更に切り詰めた軽量化を行ったため遜色の無い走りとなりました。 エンジンは再び国産搭載となり、四国地区の予讃、土讃の両線を快走しました。 シミュレーションでもキハ391並みの走りが可能で、制御振子の威力で乗り心地は381系電車を含めた初期の振子車とは異なる、優れたものとなったのです。
車重はさすがにタービン車ほどの軽量化はできませんが、キハ181系が最高速度65km/hで走っていた簡易線を、軌道強化されたとはいえ120km/hで疾走する姿はまさに奇跡で、異常にリズミカルなジョイント音は高まる気持ちをますます高揚させるものでした。
その後、130km/h対応車の登場、ほぼ同構造で710馬力に出力向上したHOT7000が誕生、北海道には更に高速志向の281系の誕生へと進み、やっと気動車も振子と130km/h運転が常識という時代になったのです。
3.ややわびしい音
これだけの高性能ディーゼル、さぞや勇ましい音がするかと期待しましたが、直噴化で音質は181系世代とは別物となり、古い市内バスのエンジンのようなターボ音が少ないこもった音、低公害化も関係して煙も少なく、勇ましさにはやや欠けるものとなりました。
しかし、軽量化が影響したのか、車内音は重厚感のない、軽薄な印象を与える音質で騒がしい印象を与えるものとなり、トンネル通過ではエンジン音を含めかなりの騒音となってしまったのは残念です。