気動車はなくなるの?−5

1. 高山線

 これまでのシミュレーションでは峠を挟んだアップダウンを繰り返す線区が対象でしたが、高山線の場合、岐阜から高山の手前まで一方的な上り勾配の連続で、蓄電池運転には厳しい状況となります。
しかもここは非電化でも最長8両に達する気動車特急が今でも運転されるという活気のある線区です。このようなところを蓄電池化しようとした場合どうなるかやってみましょう。

 まず充電設備の設置です。岐阜から高山の間で特急ひだの停車駅は美濃太田、下呂が普通です。しかし美濃太田、下呂間は距離も長く上り勾配が続くため電池切れとなってしまいます。そこで飛騨金山へも停車し充電することとしました。車両は前ページ同様ですが長編成の3M3Tの6両編成で1200kwh蓄電池搭載、有効容量600kwhとします。
曲線通過速度は本則+10km/hとしています。
 充電設備は前回同様、ユニットあたり1500kwとし、4分で100kwh充電することとしました。6両編成ではその3倍の容量が必要となります。
下の運転曲線はキハ85と並走させた例です。分岐器制限は85系投入前の未改良時代のままのため各駅で大きく減速しています。加速性能が85系よりかなり良いため特に勾配区間での加速は蓄電池列車が大きくリードしています。

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電池残量曲線は縮尺10分の1になっています。高山への下り込みに差し掛かるところで100kwhを切っていますがその後回生で少し取り戻します。

運転時刻を見てみましょう。 如何に加速で稼いでも1分の差しかでていません。これでは充電による時間ロスを補うことができません。

3箇所で充電となると12分です。1分停車が正規としても9分のロスとなり優等列車では痛い数値です。

そしてもう一つ問題となるのが長編成の充電に対応した大出力の設備が必要となる点です。四国のような短編成で1500kwですからその3倍の4500kwの設備が必要となります。

「ひだ」には近くハイブリッド気動車が導入されます。電池の量や発電機出力がまだわからないのでなんとも言えませんが今回の蓄電池車両より走行性能は劣るでしょう。発電機、蓄電池併用時にある程度の時間85系並の性能が出せれば現行ダイヤでの運転が可能です。
蓄電池だけで走る場合、今回の編成の倍の電池を搭載すれば途中充電無しで走行できますがどこまで電池価格が低下するかが課題です。
電池価格、充電設備を考えると優等列車の完全蓄電池化はやはりその次の世代までお預けというのがわかります。

10年後、あるいはもっと早く5年後かもしれませんが今回と同じタイトルの記事を改めて書く日が来るか、気動車好きにとって恐ろしくもあり楽しみでもあります。

 

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