強力型キハ91系

1.驚異の急行気動車

 新系列強力型気動車の第一弾は急行用として登場しました。300馬力1台搭載のキハ90、500馬力1台搭載のキハ91です。 各種検討の結果、500馬力1台搭載に一本化され、量産試作されました。

 
急行「きそ」 日出塩  (SS氏のご好意による)


急行「きそ」 藪原→宮ノ越 (SS氏のご好意による)

 特急用を除き、気動車としては初めて曲面ガラスを運転台窓に採用、独特の突出した前面形状を持つキハ90ほどではないものの急行電車のような軽い突出を前頭部にもたせ、側面客室もユニット窓とした近代的なデザインとなりました。

 
高山線でのキハ91さよなら運転(YK
氏のご好意による)

なんとグリーン車は付随車で、屋根上に自然冷却器は搭載されていません。冷房用の小さなエンジンを積んでいました。

 設計速度は120km/h。 試作車とはいえ急行車両としては最速となりました。8M1T編成の場合、10パーミル均衡速度は129km/hに達し、速度種別はA29となります。



 早速シミュレーションですが
舞台はやはり実車と同じ中央西線が良いでしょう。58・28急行の標準的な編成から、急行「アルプス」に使われた最強編成(キロ58搭載によるオールM編成)まで並べました。

最初のものは91系も含め、最高速度は95km/h、次のものは91系は120km/hとしました。

 

これは153系6M6Tの電車急行と1分差でほぼ同じといっていいでしょう。58オール2エンジン編成はなかなか強力で、最高速度が同じだと91を1分差にまで追い上げています。 最高速度を120km/hにしても、運転曲線を見る限り7M1Tでは120km/hにわずかに届きませんが、100km/h以上で走れる区間がある程度あるため2分の短縮になっています。

木曽福島付近では各車両の性能差がよく出ています。50〜70km/h付近の性能を重視した高速仕様のトルクコンバーターが威力を発揮しています。 20パーミル勾配均衡速度で見ると、58系はオールM編成でも51km/h程度ですが、91系は70km/hを超えており、加速力の差がかなり出るのです。


高山線でのキハ91さよなら運転(YK氏のご好意による)

2.電車に挑む

 速度種別A29などという列車は当時そうありふれたものではありませんでした。特急電車の8M4Tが同じくらいですが、交流区間ではA22程度まで性能ダウンしていたのです。
 91のこの性能を当時の電車にぶつけたらどうなるでしょうか。早速シミュレーションです。電車は80系、153系、113系で、153系の編成は山岳線用に少し強化し、6M4Tとしました。

到達時分は80系が最高速度の影響で遅れるものの、91は電車並に走っています。運転曲線で名古屋千種辺りでの加速を見ると、下のようになり、91系は60km/h辺りでやや劣るものの、かなり互角に戦っています。

一方、高速になると91系はその性能を如何なく発揮します。
下の図では田立辺りの20パーミルに悩まされる91系に対し、153系、113系がじりじりと加速する力をもっているのがわかります。

その後、平坦になり、曲線制限を過ぎて各列車とも95km/h近くまでそろって加速しますが、続いて9パーミルの登りに差し掛かります。 80系電車はもはや加速できません。113系、153系は加速しますが、かなり苦しい状況。 それを尻目に91系はぐいぐい加速。 しかも速度が100km/hを超えても加速力の低下はあまりありません。


高山線でのキハ91さよなら運転(YK氏のご好意による)

-------補足-------

 

 このページのデータはわざと電車に不利なものを集めているという指摘を受けましたので誤解のないようにデータを追加しておきます。 当サイトの読み方に関する注意事項をまとめていますので読んでください。

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