気動車はなくなるの?−4
1. 予讃線
短編成特急気動車が非常に多く運転されている代表はなんといっても予讃線の松山ー宇和島間です。 ここを蓄電池化するシミュレーションをやってみましょう。 車両は前ページ同様、1M1Tの2両編成で400kwh蓄電池搭載、有効容量200kwhとします。
停車駅は「宇和」に合わせています。 流石にこの区間は勾配がきつく、下りの場合八幡浜の南側で電池切れとなりました。 そこで中間付近の伊予大洲駅に充電設備を作ることとします。
大容量電池を短時間で充電する必要があり、電池の高性能化を想定して1500kwの充電設備とし、4分で100kwh充電することとしました。 曲線通過速度は本則+20km/hとします。
伊予大洲での電池残量は70kwhほどで、宇和島到着時には10kwhまで減少していますが完走しました。
上りの場合は伊予大洲で75kwh、松山で30kwhと少し余裕があります。
運転時刻を見てみましょう。 基準運転時分で2分30秒遅れており、時刻表形式で表示すると次のようになります。
右列が2000系2M編成です。2000系の1320馬力に対して蓄電池車は600kw。いかに電動機のトルク特性が優れているとは言っても歯が立ちません。 しかも充電による停車時間延長が1箇所加わるため6分程度不利になることになります。
では蓄電池車を高出力化したらどうなるでしょうか。 消費電力が増えて更に電池を増やし重量は増加し性能が伸びないというジレンマに陥りそうです。 そこで回生能力を高めるためより高速域まで回生ブレーキでエネルギー吸収が可能なように炭化珪素素子の普及を想定して車両を設計します。
過負荷容量の大きな炭化珪素素子と大電流充電可能な次世代蓄電池の組み合わせを想定して高速域の摩擦ブレーキ負担を減らすのです。
車両自体も特急用として編成出力960kwとし、速度特性も電車の181系の特性に近づけます。
下の加速力曲線で緑が181系8M4T、黄色が今回の車両、紫が2000系です。
さらに回生時の制動力を1240kwに向上、2km/h/sという低めの制動力の場合、100km/h以下では摩擦ブレーキにほとんど依存しない制動が可能となります。
電池は変更せず有効容量200kwh、車重は高出力化などの影響で1トン増加とし1M1Tで積車95トンとディーゼル車なみに重い設定です。
やはり効果が出ます。電力消費はあまり変化なく完走可能、運転時分は2000系より4分速達可能です。
これだけ走るとなると土讃線にも入れてみたくなります。
2. 土讃線では
高松琴平間が電化済ですので琴平高知間でシミュレートします。中間駅での充電は大歩危で行い、100kwhとします。
大歩危到着時電池残量は約40kwh、100kwh足して繁藤通過時には約15kwhまで減りますがその後は下りとなるため回生で貯めて無事完走という状態です。
ところが上りは大変です。何しろ土佐山田から繁藤までは連続25‰で、大歩危につかないうちに電池切れとなります。大杉で充電しても今度は猪鼻越ができません。
結局2箇所の充電設備が必要となります。
上り下りとも安心して走らせるには阿波池田、大杉の2駅に充電設備を作る必要があるようです。
運転時分ではわずか1分しか差がでません。下の図の左が2000系です。
結局充電時間を考慮すると上りでは2000系より7分ほど遅くなるわけです。
線形が厳しく距離が伸びるに連れて充電の負担が増えて行くことになります。