非電化新幹線

1. 1160馬力

 187系など最近の900馬力級気動車の性能はすばらしいものがありますが、妄想ついでにこの問題について調べてみましょう。 「キハ181系FAQ」のページでも触れましたが、最近はディーゼル高速列車が徐々に登場するようになり、2002年には久々にディーゼル世界記録更新という快挙もありました。 国内では高速列車は新幹線であり、電気運転というのが常識で、非電化新幹線が生まれる可能性はほとんどないと思われます。 しかしJR北海道では非電化の高速鉄道が誕生してもよい場面があります。

 性能面では小型車体に1000馬力ほど詰め込めば何とか200km/h運転は可能です。 コマツディーゼルの資料を見ると187系に比べて3トン程度の重量増で1160馬力の気動車を実現可能と想像されます。 187系を元に耐寒耐雪改良、SA6D140-HD2台搭載としてシミュレーションしてみたのが下の図です。 各種改造による6トンの車両重量増を加味しています。
車色別に
187系改4MICE-TD5M0系12M700系6M2Tとなっています。

 これを見ると、高速域ではほぼ0系並み、200km/h対応のドイツの振子式ディーゼルICE-TDよりもかなり加速性能がよいことがわかります。 700系は山陽区間での高加速設定のデータですが、さすがに1160馬力ディーゼルをもってしても歯が立ちません。 函館-札幌で走らせて見ると曲線通過30km/h向上、分岐器制限無しという条件で何箇所か210km/hまで加速可能です。

この区間での最高速度の向上効果は大きく、160km/h走行と比べ26分の短縮となっています。

 札幌以南については長期的に北海道新幹線の可能性も残っており、在来線にあまり投資をできない面があります。 一方道東については電気運転の新幹線が延伸する可能性はないのでこちらに高速新線を建設し非電化高速列車を運転すると面白いでしょう。 上記の187系改造車なら20‰を150km/hで登りますからある程度の勾配は許容でき、狭軌単線非電化となれば建設費や維持費も比較的低く抑えることができます。

2. 他の地域では

 北海道以外で非電化の高速列車が走っているのは智頭急行、JR四国があります。 しかしこれらは160km/h以上の高速気動車を活かせる線形ではなく、今後高速道路との競合で厳しい時代を迎えることになると思われます。 予讃線については振子式フリーゲージトレインにより関西直通が達成できればある程度生き残れるでしょう。 しかし智頭急行、土讃線、高徳線では非電化のため新幹線直通は難しく、上記のような性能の気動車を作っても現在の新幹線電車と同等に走ることはできません。 予讃線、伯備線などでのフリーゲージトレイン効果を見て電化の方向へ進むのが現実的です。
 智頭急行は電化して相生あたりで新幹線乗り入れが実現すれば相当の効果が出るでしょう。 電化が望めない場合、大阪までなら新幹線もまだ余裕があり、0系が走っていることを考えると趣味的には軌間可変の強力ディーゼル動車を作って直通したくもなります。

 上の187改造車で新大阪-岡山を走ってみました。 これで智頭急行直通をやれば鳥取まで2時間も現実のものとなります。 南風などでも乗り換え無しで直通となれば相当のメリットが出るでしょう。

 高速フライホイールによる電力回生機構を組み込んだ電源車が実現できれば、電車ごと高知や鳥取に乗り入れるといったことも夢ではなくなります。 これはまさに分割式のハイブリッド気動車といったところで、電化区間をディーゼル運転する無駄をなくせます。
 高速運転するには大出力の電源が必要となり、サイズ的にさすがにディーゼルでは厳しいものがあり、ガスタービンが必要となるでしょう。 アメリカのジェットトレインの例を見ると3750KWの電源が車両の片隅に収納できるほどコンパクトになっているようです。 こういった技術を流用すれば夢のような性能の電源車を実現できるかもしれません。 そうすれば現在開発されているフリーゲージトレインを活用して非電化線へも直通運転できるわけです。

 

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